学名
Allium sativum
青森県での生産量等
収穫量 13,500トン 全国一位(出典:農林水産省 令和3年産野菜生産出荷統計)(指定野菜(秋冬野菜等)及び指定野菜に準ずる野菜の作付面積、収穫量及び出荷量)
主な生産地:十和田市、七戸市、東北町
栄養成分
可食部100g当たり(りん茎、生)
エネルギー 129Kcal、水分 63.9g、蛋白質 6.4g、脂質 0.9g、炭水化物 27.5g、灰分 1.4g、カリウム 510mg、ビタミンC 12mg、食物繊維総量 6.2g
(出典:日本食品標準成分表(八訂)2023年)
特性
ニンニクは、ネギ科の多年草で、生薬名は大蒜(たいさん)。
原産地は中央アジアと言われており、すでに紀元前3200年頃には古代エジプトなどで栽培・利用されていた。
また、現存する最古の医学書『エーベルス・パピルス』には薬としても記載されている。
日本には『本草和名』(紀元918)に栽培の記録が残されていることから、それ以前に渡来したと考えられている。
青森県のニンニクは、国内生産量の約80%という高いシェアを占める。
独特のスパイシーな香りはアリシンによるもので、殺菌作用があるといわれている。
また、アリシンはニンニク内のビタミンB1と結びつくことで、動脈硬化や疲労回復などに効果があるといわれている。
主な機能
血中脂質低下作用、血小板凝固抑制作用、繊維素分解作用、血栓防止作用、血流量増加作用、血圧低下作用、がん予防作用、抗酸化作用、抗菌作用
機能性成分
アリイン、アリイナーゼ 及びアリシン
アリインは、ニンニクに含まれる天然の硫黄化合物。カットやすり下ろしにより、ニンニク中の酵素アリイナーゼの作用で、臭いの元となるアリシンに変化する。
アリシンはニンニクと同時に摂取した食品中のビタミンB1と結びつくことで、疲労回復などに効果があるといわれている。
ニンニクの機能性成分は、アリシン及びアリシンから二次的に生成する、アリルスルフィド類、アホエン類、ジチイン類(血流改善など)とされている。アリシンは、元々ニンニク成分ではなく、ニンニク成分であるアリインが組織破壊(カット、すり下ろし等)によりニンニク中の酵素アリイナーゼの作用で生成することから、無傷生ニンニクの機能性成分は、アリイン及びアリイナーゼとなる。
ニンニクの内部温度が高温(例えば80℃以上)になると、酵素が失活するため、酵素反応で生成するアリシンは極端に少なくなる。
S-アリルシステイン
ニンニクを加熱加工処理することによって生成される水溶性含硫アミノ酸で、無臭の成分で、(大腸)がん予防作用等が報告されている。
加熱加工処理を行うと、処理の程度(温度・期間)によって、果肉色が、白→琥珀色→黒に変化する。S-アリルシステインは、琥珀色の時に最も含有量が高く、黒くなるまで加熱すると減少する。一方、琥珀色の時より刺激が少なく、食べやすくなる。
過度の加熱により分解する。分解温度は、218℃(文献値)。水には可溶だが、油には不溶性である。
シクロアリイン
シクロアリインは含硫アミノ酸の1つで、繊維素分解作用、血中中性脂肪低下作用等が報告されている。
過度の加熱により分解する。分解温度は、146~148℃(文献値)。水には可溶だが、油には不溶性である。
利活用、応用の方法、用途など
世界的に食されている香辛料で、和洋中問わない。薬味、風味やコクだし、におい消しなどのほか、ニンニク味噌やホイル焼き、てんぷらとしてもおいしい。
約2週間一定の温度でじっくり熟成すると、ニンニクが琥珀色に変化し、ニンニクの機能性成分(S-アリルシステイン、シクロアリイン)が高まる。(特許技術)
ニンニクを黒くなるまで加熱加工処理すると機能性は減少するが、琥珀色の時より刺激が少なく、甘い印象となり、食べやすくなる。「黒にんにく」と呼ばれ、そのまま食べたり、サプリメントなどに活用され、ジャムや羊羹、チョコレートなどのお菓子にも加工されている。
主要な機能性発現は、細胞損傷時の酵素アリイナーゼの作用によることから、機能性を発揮させるためには加工前に酵素が失活する条件で加熱などするのは好ましくない。
また酵素反応後の諸条件(油と水の割合、加熱程度、静置条件等)により生成する機能性成分が異なるので、目的機能性に合わせた加工条件の設定が必要である。
研究機関
- 地方独立行政法人 青森県産業技術センター 農産物加工研究所
- 青森県上北郡六戸町大字犬落瀬字柳沢91
- TEL:0176-53-1315
- FAX:0176-53-3245
2023年11月6日 更新
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