学名
Malus pumila
青森県での生産量等
収穫量 370,500トン 全国1位
(出典: 農林水産省 果樹生産出荷統計 第1報 令和6年産りんごの結果樹面積、収穫量及び出荷量)
品種別収穫量
ふじ 181,400トン,つがる 36,700トン,王林 38,000トン,ジョナゴールド 31,300トン いずれも全国1位
(出典: 農林水産省 令和5年果樹生産出荷統計)
主な生産地: 弘前市,青森市,平川市,藤崎町
栄養成分
可食部 100 g当たり (生)
エネルギー 53 kcal,水分 84.1 g,タンパク質 0.1 g,脂質 0.2 g,炭水化物 15.5 g,食物繊維総量 1.4 g,灰分 0.2 g,カリウム 120 mg,ビタミンC 4 mg
(出典: 日本食品標準成分表 (八訂) 増補2023年)
特性
りんごは中央アジア原産のバラ科リンゴ属の落葉高木樹です。ヨーロッパでも長い栽培の歴史があり、日本には明治に導入され、比較的冷涼な気候が栽培に適していることから、青森県、長野県が主産地となりました。
りんごの品種は、世界で約15,000種類、日本では約2,000種類あり、青森県産業技術センターりんご研究所では約300種、県内農家では約50種が栽培されています。日本で最も多く栽培されている品種は「ふじ」です。
「1日1個のりんごで医者いらず (医者を遠ざける)」といわれるように、りんごにはビタミンやミネラル、食物繊維など様々な栄養素が豊富に含まれています。加工中の熱処理などで失われる成分もありますが、健康の維持に役立つ多くの成分は保持されることが報告されています。
水溶性食物繊維のペクチンや種々のポリフェノールも多く、これらには様々な生理機能が報告されています。疫学調査では、心臓病やがんに対する予防効果が示唆されています。
主な機能
中性脂肪減少,抗酸化作用,血中コレステロール低下,血圧上昇抑制作用などが期待されます
機能性成分
ペクチン
ペクチンは水溶性食物繊維の一種で、増粘剤として使用されるほか、血中コレステロールの低下作用が期待されます。また、腸内細菌改善作用などの整腸作用があり、便秘改善にも効果があります。
りんごペクチンにはポリフェノールの吸収を高める作用もあります。他には、血中脂質低下,整腸作用,アレルギー予防作用などの研究結果が報告されています。
ペクチンオリゴ糖
ペクチンをペクチン質分解酵素で分解することにより得られるオリゴ糖です。高血圧の抑制と血中コレステロールを低下させることが明らかとなっています。
りんごペクチン由来のオリゴ糖は活性酸素抑制作用があるといわれています。
セラミド
セラミドは脂質の1つで、水分の蒸発を防ぐ効果があります。植物由来のセラミドには、皮膚の老化防止,大腸がん抑制などの機能性が報告されています。
りんごセラミドはりんご残渣からペクチンを製造するエタノール処理工程から調製することが可能で、肌の保湿効果があることから、健康食品および化粧品原料に利用されています。 従来の米ぬかや小麦胚芽よりもりんご残渣はセラミド含有量が高いことから、コスト面で優位性があります。また、りんごセラミドははがん細胞をアポトーシスにより死滅させる作用を示すことが細胞実験で報告されています。
ポリフェノール (リンゴポリフェノール), プロシアニジン, フロリジン
ポリフェノールは分子内に複数のフェノール性水酸基を有する化合物の総称で、多くの植物に含まれており、色や渋味・苦味などに関与しています。抗酸化作用をもつ物質が多く、成分によって多様な生理活性が明らかにされています。
りんごにはポリフェノール類としてプロシアニジンが最も多く含まれます。プロシアニジンには多くの重合体があり、リパーゼ阻害活性や抗酸化作用が報告されています。
フロリジンは糖代謝酵素阻害作用が報告されています。摘果りんご果実には、完熟りんごに比べ5~10倍のポリフェノールが含まれているといわれています。
ケルセチンとケルセチン配糖体
ケルセチンといくつかのケルセチン配糖体は、抗酸化作用の他、抗アレルギー作用,膵リパーゼ阻害活性などが報告されています。
カリウム
カリウムはミネラル※の1つで、主に細胞内液に分布し、神経伝達などで重要な役割を果たしています。また、塩分の摂りすぎでナトリウムが過剰になり、体内水分量を増やすため高血圧の原因の1つとされていますが、カリウムはナトリウムの排泄を促すことから、カリウムは高血圧の予防に有用です。カリウムの1日の摂取量は3.5 gが望ましいとされています。
※: ミネラルは、五大栄養素の1つで、骨や歯など身体の構成成分になるとともに、体の調子を整える働きがあります。「無機質」ともいいます。栄養素として必須のミネラルは13種類あり、食事摂取基準ではナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム,リンが多量ミネラル、鉄,亜鉛,銅,マンガン,ヨウ素,セレン,クロム,モリブデンが微量ミネラルと定められています。
利活用、応用の方法、用途など
生食だけでなく、パイやタルトなどの焼き菓子料理,ジャム,ジュース,シードル,果実酢など加工品にも利用できるため、用途が広いです。
食品としてりんごを食べることの他に、機能性成分を抽出して活用する方法があります。 特に、ペクチン,ペクチンオリゴ糖,セラミドの調製は、果汁製造時の残渣を用いることが抽出効率やコスト的にも有利であり、工業的な製造も可能です。
弘前大学では、りんご搾汁残渣からペクチンオリゴ糖の簡易製造法を確立しています。
紅の夢 (青森県産の赤肉りんご)
「紅の夢」は、りんごの育種プロジェクトによって弘前大学農学生命科学部附属藤崎農場で誕生した新品種のりんごです。2010年に、弘前大学の果肉の赤いりんご第1号として、農水省に品種登録 (登録番号19259) しました。
最大の特徴は果肉が赤く着色することです。しかもこれまでの赤肉品種にありがちな「渋くて生では食べられない」という課題が克服され、酸味の効いた生食ができる食味の良いりんごです。さらに、収穫時期を変えると、早取りでは加工品向きの酸味の強いりんごになり、時期を遅らせると生食に適した蜜入りのおいしいりんごになります。
「紅の夢」の果肉の赤色はアントシアニンです。アントシアニンは、通常はりんごの赤い皮に存在していますが、紅の夢はアントシアニンが果肉にも存在します。
りんごの栄養と機能を活かした取り組みを紹介します「AOMORI UP!」
りんごの豊富な栄養・機能性を活かしたバラエティ豊かな商品を取りまとめた動画です。
様々な可能性を秘めたりんごを利用する上で参考にしてください。
HFF60
果皮が黄色く、果肉 が赤い早生の品種です。酸味が少なく、生食でも甘さが楽しめるのが特徴です。
HFF33 (美紅)
果肉,果皮ともに赤く、収穫時期が遅い品種です。酸味がふじと同程度であることから生食に最適です。また、貯蔵性が紅の夢よりも良いことが特徴です。
青森県内では果肉系りんご品種の栽培が拡大しており、これらの他にも五所川原市のみで栽培されている「御所川原」などがあります。
研究機関
- 国立大学法人弘前大学 弘前大学研究・イノベーション推進機構
- 青森県弘前市文京町1
- TEL:0172-39-3911
- 公立大学法人青森県立保健大学 ヘルスプロモーション戦略研究センター
- 〒030-8505青森市大字浜館字間瀬58-1
- TEL:017-765-4085
- 地方独立行政法人青森県産業技術センター工業総合研究所
- 〒030-0142 青森市大字野木字山口221-10
- TEL:017-728-0900 FAX:017-728-0903
2025年11月1日 更新
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