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リンゴ

リンゴ

リンゴ

リンゴ

リンゴ

学名

Malus pumila

青森県での生産量等

収穫量 439,000トン 全国一位
(出典:農林水産省 果樹生産出荷統計 第1報 令和4年産りんごの結果樹面積、収穫量及び出荷量)
※令和3年産果樹生産出荷統計では415,700トン
品種別収穫量
ふじ 195,800トン、つがる 41,100トン、王林 41,600トン、ジョナゴールド 34,100トン いずれも全国1位
(出典:農林水産省統計 令和元年果樹生産出荷統計)
主な生産地:弘前市、青森市、平川市、藤崎町

栄養成分

可食部100g当たり(生)
エネルギー 53Kcal、水分 84.1g、蛋白質 0.1g、脂質 0.2g、炭水化物 15.5g、灰分 0.2g、カリウム 120mg、ビタミンC 4mg、食物繊維総量 1.4g
(出典:日本食品標準成分表(八訂)2023年)

特性

リンゴは、中央アジアを原産地とするバラ科リンゴ属の落葉高木樹で、その果実を食す。
ヨーロッパでも長い栽培の歴史があり、日本には明治に導入され、比較的冷涼な気候が栽培に適していることから、青森県、長野県が主産地となった。
リンゴの品種は、世界中で約15,000種類、日本では約2,000種類あり、青森県産業技術センターりんご研究所では約300種、青森県内では約50種が栽培されている。

「紅玉」「国光」の二大品種時代が長く続いたが、幾多の品種改良が進み、1962(昭和37)年に「ふじ」が登録されてからは、日本ではふじが最も多く生産されている。
一般的に生食では皮を剥いて食べることが多い。
加工品ではジュース、パイ、焼きリンゴ、ジャム、シードル、果実酢などがある。

「1日、1個のリンゴで医者いらず(医者を遠ざける、とも)」と言われるように、リンゴにはビタミンやミネラル、食物繊維などさまざまな成分が豊富に含まれている。
加工工程の熱処理などで失われる成分もあるが、健康の維持に役立つ多くの成分は保持されることが報告されている。
糖質は果糖、ブドウ糖、ショ糖が主で、酸としてリンゴ酸とクエン酸を含む。
リンゴの摂取は、ガンへの予防効果が高く、特に肺ガンに対しての予防効果がきわめて高いとされている。
良質なペクチンが多く含まれているため、心臓病や脳卒中の予防、ぜんそくや気管支炎など慢性非特異的肺疾患の抑制、ビタミンCの吸収促進などにも効果がある。
ポリフェノールにも、生理機能が期待されている。

主な機能

リンゴとして、中性脂肪減少、アレルギー発症抑制、血中コレステロール低下、肺がんリスク低下。
リンゴポリフェノールとして、抗酸化性、抗う触性、抗アレルギー作用、脂質代謝制御機能、メラニン生成抑制作用、抗腫瘍活性、消臭、血圧上昇抑制、抗変異原、抗毒素、皮膚掻痒症抑制など。
リンゴペクチンに、ポリフェノールの吸収促進作用。
リンゴペクチンオリゴ糖に高血圧抑制と血中コレステロール低下作用。

機能性成分

ペクチン(リンゴペクチン)

ペクチンは食物繊維の一種で、増粘剤として使用されるほか、水溶性食物繊維としてコレステロールを含む血中脂質の低下作用がある。
その一方で、リンゴペクチンにはポリフェノールの吸収を高める作用もある。
リンゴペクチンは、腸のリズムを正常に保ち、腸内の善玉菌を増やし悪玉菌の繁殖を防ぐ効果がある。その効果は他のペクチンよりも強く、大腸ガンの予防に有効である。ビフィズス菌・乳酸菌など善玉菌をもつヨーグルトなどと一緒に摂取すると、さらにこの効果が増す。 他には、肥満糖尿病の予防、動脈硬化の予防、胃腸の保護効果、アレルギー予防などが知られている。 ペクチンは果実、野菜、穀類等の植物細胞壁に含まれる複合多糖類。D-ガラクツロン酸がa-1,4結合したポリガラクツロン酸が主成分で、カルボキシル基の一部がメチルエステル化されており、その割合が異なる。 食物繊維の一種として栄養成分の吸収阻害作用を持つが、反対にペクチンがポリフェノール、特にケルセチンの体内吸収性を増加させる作用を青森県立保健大学で見出している。この作用は、両者を同時に摂取することで得ることができ、動物だけでなくヒトにおいても確認している。 ペクチンは、食品化学の分野ではゲル化剤、増粘安定剤などとして利用が普及している。工業的には柑橘系の皮やリンゴ残渣から製造され、それぞれシトラスペクチン、アップルペクチンと呼ばれているが、市場ではシトラス系が主流である。

ペクチンオリゴ糖

ペクチンをペクチン質分解酵素で分解することにより得られるオリゴ糖※。
高血圧の抑制と血中コレステロールを低下させることが明らかとなっている。 リンゴペクチン由来のオリゴ糖は活性酸素抑制作用があるといわれている。
※オリゴ糖とは…3個から数個の単糖分子が結合した化合物。オリゴガラクツロン酸とも呼ばれる。構成糖はガラクツロン酸、a-1,4結合で直鎖に結合している。微生物に選択的に静菌作用、あるいは増殖効果を示す。動物実験では、高血圧の抑制と血中コレステロールを低下させることが明らかとなっている。 リンゴペクチン由来のオリゴ糖は、活性酸素抑制作用をもち、その効果は低重合度においてより高いと言われている。 食物繊維は、一般に溶解度の低さなどの物性上の性質から、加工適性に劣り、非常に摂取しにくい食品成分の一種であるが、オリゴ糖にすることにより加工適性を向上させ、利用範囲を拡大することで、高血圧抑制などの機能性を付加した食品の開発に寄与できる。

セラミド(リンゴセラミド)

セラミドは脂質の1つで、水分の蒸発を防ぐ効果がある。 植物由来のセラミドについてはこれまで、皮膚老化防止、大腸がん抑制などの機能性が報告されている。 リンゴセラミドはリンゴ残渣からペクチンを製造するためのエタノール処理工程から調製することが可能で、肌の保湿・美白効果があることから、健康食品及び化粧品原料に利用されている。従来の米ぬか、小麦胚芽由来のセラミドと比較して含有量が多いことから、コスト面で優位性がある。 また、リンゴセラミドについては培養細胞に対して、アポトーシスを示すことが明らかとなっている。 セラミドは細胞表層に存在し、表皮の角質層を形成する細胞間脂質の50%近くを占めている。水分の蒸発を防ぐ効果があり、保湿柔軟性を維持し、細胞同士をつないで整列させる働きがあるとされる。 工業的には、小麦、コメ、コンニャクなど植物からの抽出物が開発されている。 農産物及び加工副産物のセラミド含量は、リンゴ残渣に最も多く含まれ、その含有量は乾燥したリンゴ残渣の0.094%である。また、リンゴ残渣の場合セラミドの夾雑物であるステロイド配糖体の含有量が少なく、精製が容易である。 近年、セラミドは、シグナル伝達物質として作用し、分化、増殖、プログラム細胞死、アポトーシスを制御することなどが報告されている。 青森県の地域資源を活用したリンゴセラミドは、従来の米ぬか、小麦胚芽由来のセラミドと比較して含有量が多いことから、コスト面で優位性があり、加えてイメージやブランド力も優れていることから、新しい素材として市場での地位獲得が可能である。

ポリフェノール(リンゴポリフェノール)・プロシアニジン(プロアントシアニジン)・ケルセチン・フロレチン

ポリフェノールは、ほとんどの植物に含まれている色素や渋み・苦みの成分のことで、抗酸化作用を有する化合物群である。 リンゴポリフェノールは「プロシアニジン」が主体で「ケルセチン」等も含む。抗酸化作用の他、抗アレルギー作用、抗腫瘍活性などがあると報告されている。 アンチエイジングのための化粧品などに配合されている「フロレチン」も、ポリフェノールの1つで、リンゴやナシに含まれている。未熟リンゴ果実には、完熟リンゴに比べ5~10倍のポリフェノールが含まれていると言われている。 リンゴポリフェノールは抗酸化作用を有するので体内の抗酸化酵素 (SOD等) やビタミン類の消耗を防ぐ。 抗アレルギー作用、高脂肪食で飼育したラットの内臓脂肪低下作用が日本農芸化学会(2004年)で発表されている。 プロシアニジンは、カテキンがいくつか結合した構造を持ち、結合度合いの違いでプロアントシアニジンなどと呼ばれるものもあるが、成分は同じ。 ケルセチンは、黄色い色素で抗アレルギー作用があると言われている。

カリウム

カリウムは主要ミネラルの一つで、主に細胞内に分布し、神経伝達などで重要な役割を果たす。 リンゴは果実の中でもカリウムを比較的多く含む果実である。 カリウムはナトリウムを体外に排泄させて、血流をよくする作用があるため、高血圧を抑制すると言われていることから、摂取量は3.5g/日が望ましい。 カリウムはヒトにとって必須のミネラルの一種で、体内に約170 g、主に細胞内に分布している。浸透圧や酸塩基平衡の維持、細胞膜電位の変化や活動電位に関与している。 ナトリウムとカリウムの排泄は連動しているので、ナトリウムを多く摂取するときはカリウムも多く摂取する必要がある。 カリウムは熱による調理で失われやすく、特に煮た場合の損失は約30%にもなる。リンゴ100gのなかにはカリウムが110mg入っており、リンゴの平均重量は約300gであるため、1個で約330mg摂取することができる。さらに生で食べられるため効率的にカリウムを摂取できる。

利活用、応用の方法、用途など

生食だけでなく、パイやタルトなどの焼き菓子料理、ジャムやジュース、シードルや果実酢など加工品にも利用できるため、用途が広い。 リンゴ自体を利用するのが人の健康に対しては良いが、機能性成分を活用するのであれば抽出が望ましい。 その場合は、リンゴ果汁の生産の際に排出される残渣を用いるのが、リンゴの有効利用の観点から効果的で、この搾汁残渣からペクチン、ペクチンオリゴ糖及びセラミドを工業的に製造することが可能である。 弘前大学では、リンゴ搾汁残渣からペクチンオリゴ糖の簡易製造法を確立している。 ペクチンは増粘安定剤としてジャムやゼリーなどに頻繁に用いられているが、機能性素材としての高度利用が可能である。植物由来のセラミドは、主に食品素材として、美容、健康食品に利用されているほか、化粧品としても利用されている。 弘前大学が確立したリンゴ搾汁残渣からのペクチンオリゴ糖簡易製造法は、低濃度の塩酸を加えてオートクレープ処理することにより、低分子化したペクチンオリゴ糖を得るもので、以下の効用が期待される。

  • 人畜無害なバイオ農薬としての可能性
  • エリシター活性に基づく植物への抵抗性増強剤
  • ビフィズス菌や乳酸菌に対する増殖効果
  • 皮膚常在菌の中のニキビ菌や水虫菌に対する抗菌剤として
  • 皮膚保護作用に基づく化粧品への活用

紅の夢

「紅の夢」とは、弘前大学農学生命科学部附属藤崎農場で行われた、リンゴの育種プロジェクトによって誕生した新品種のりんごです。全国で生産されているりんごの約50%以上を占める「ふじ」の誕生から70年、「多品種化時代を生き抜く特徴あるりんごを!」をコンセプトに「紅の夢」は2010年に、弘前大学育成の果肉まで赤いりんご第1号として農水省に品種登録(登録番号19259)を行い、様々なメディアに取り上げていただきました。

「紅の夢」の最大の特徴は果肉が赤く着色することです。しかもこれまでの赤肉品種にありがちであった、「渋くて生では食べられない」という問題が克服され、酸味の効いた生食ができるおいしいりんごです。

さらに、収穫時期を変えることにより、早取りでは加工品向きの酸味の強いりんごになり、収穫時期を遅らせると蜜入りの生食に適したおいしいりんごになります。

「紅の夢」の赤い果肉の秘密は、天然の赤色色素であるポリフェノールの一種「アントシアニン」にあります。

果肉を赤く色づかせる「アントシアニン」は、抗酸化作用があり人間の身体に良いとされているのですが、通常は赤いりんごの「皮」の部分に存在しており、皮を剥いてりんごを食べる習慣のある日本では、この大事な部分を捨ててしまっていました。

「紅の夢」は、この大事な「アントシアニン」が果肉に存在しているため、今まで通り皮をむいて食べても「アントシアニン」を摂取することができます。

「紅の夢」の果肉の機能性・成分についてはまだまだ分からないことだらけです。現在、弘前大学農学生命科学部を中心に研究が進められています。

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研究機関

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